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「で、飽きもせずにまたまたまたまた創っちゃったというわけなのね」
「熱心な研究心と言ってほしいですね」
「まあ私としては、確かに製作費はかかりますが、それ以上のものを収めていますから別に文句を言うつもりはありません。
それに、無茶苦茶なパワーとかあるわけではありません、毒にも薬にもならないからいいんですねどね。
ただ……この試作品を起動させたら司令代理が頭を抱えることになるんじゃないかしら」
「私、そういうの大好きなんです」
「そういうのって?」
「他人の慌てふためくところをじっくりと見ることです。
あの猫耳な司令がどんな反応するかをつぶさに観察するのを想像しただけで、ちょっと鼻血が出そうになっちゃいますよ♪
あ、でもやましい意味じゃないんですよ。どこかのケモ耳研究所の人たちみたいに下半身からくる欲望じゃありませんから」
「そう……。私とあなたもけっこう長いつきあいだから、その気持ちはすごくよくわかるわ。私もあの状態の司令だったら微妙にいぢめたくなる気持ちはわからないでもないし。もしかすると私って日頃の仕事をしない司令に対してうっぷんがたまっているのかもしれない……」
「では、副司令としては起動テストを認可してくださるのですね」
「ええ、かまわないわよ。本当のところ言うとメカわねこのほうがそれはそれは充分に働いてくれているから、生かわねこのほうはあまり関係ないのよね。だから今回の試作品が司令にどんなちょっかいをかけてもそれほど困らないの」
「なまかわ・ねこ………ちょっと問題発言では?
それに生の司令ってもしかして……用無しってやつなんですか?」
「いいえ、そこまでは言わないわよ。それなりには役に立っているわ。それなりには、ね……」
「副司令も苦労しているんですね……」
「ま、それはともかく、このプログラムソースを見ていて気づいたのだけど、オリジナルと少し違うわね。これはどうして?」
「よく読めますね。自分で書いて何ですが、こんな複雑なプログラム『果穂OS VER,5.02A』を。
ま、それはともかく、本物とまったく同じに創ったら面白くないからですよ」
「確かに興味深いわ。今回の人魚バージョンは。
今までは自由自在に動き回れたけれど、今回はある一定の場所で本領を発揮しそうですし」
「モニターは完璧ですよ。あとで司令部のほうにもデータを送っておきますね」
「よろしく頼むわ」
「あれ、副司令。なんだか微妙に顔がひきつってますよ」
「そういうあなただって」
「うふふふ」
「うふふふふふ」
あの、二人して何を話しているんですか。(汗)
MACHINERY EXCEPTION
キャラクター原案:かわねぎ様 OYAZI様
作:ノイン & keyswitch
「にゃんにゃんにゃん。プレラットの大使館に御奉仕しに行くにゃん♪」
「ご主人様ぁ。ご主人様ぁ」
「おや、緒耶美ちゃん。こんなところで奇遇だにゃ」
「ご主人様のいるところ、私もいるんです。すりすりぃ」
「にゃ。気持ちいいにゃ。でも恥ずかしいから、それぐらいにしといてもらえると嬉しいにゃ」
「はい、ご主人様」
「それで緒耶美ちゃん。何か用かにゃ?」
「はい、よくわからないんですけど、れも副司令がご主人様にお会いしたいそうですよ」
「れも副司令がにゃ? なんの用かにゃぁ」
「なんなんでしょうね。私も気になります」
「どうせろくなことじゃないにゃ……。れも副司令がボクを呼ぶときは叱るときか、お仕事のどっちかにゃ」
「ご主人様。そんな暗い顔をしないでください。私も落ち込んでしまいます」
「そうにゃ。未来のことは誰にもわからないにゃ。今をがんばるだけにゃ」
「その意気ですよ、ご主人様」
☆
「で、これが技術部の新作というわけなんですよ」
「なんで布で覆ってるにゃ……。なんか恐いにゃぁ」
「もしかして、またご主人様のニセモノなんですか」
「違いますよ。まあ実際に見ていただきましょうか」
「……こ、これは! あの人魚ちゃんにゃ」
「なんで、こんなライバル・・・もとい、無駄なものを創ったんですか!?」
「さあ、モデルを誰にするかは技術部の裁量だから私にはわからないわ。ともかく起動するわね。よろしいかしら司令代理」
「うう、なんかいやな予感がするけど、いいにゃ。やるにゃ」
「なんで、なんで……なんで私じゃなくこんな人魚を…」
「では起動」
☆
「ご主人様、ご主人様♪」
「うううう……」
「ご主人様♪ どうしたんですか? あたしのことが嫌いなんですか?」
「うううううううう……」
「ごしゅじんさまぁ〜」
「なんで、この娘、ご主人様じゃなくて私にくっついてくるのおおおおおおお!!」
「わからないにゃ。そういう設定なんだろうにゃぁ……ひとまずボクとしてはほっとするにゃ」
「いやですう。助けてください。ご主人様ぁ」
「ああ、やめるにゃ。そんなにしちゃだめにゃぁ」
「やめてください! ご主人様にそんなに気安く近づくなんて。この泥棒猫!」
「ボクは別に何かをしたわけじゃにゃくて……」
「泥棒猫って、ご主人様にひどい言い草です! そっちこそ離れてください」
「いやですう。ご主人様ぁ。あたしを捨てないで〜」
「離れてええええ」
「いやです。いやです。いやです」
「ああ、もう何がなんだかわからにゃ……」
☆
「結局のところ、すべては無茶だったわね」
「副司令のおっしゃるとおりですね……。モデルになった本人は激怒しちゃいましたし。
ま、『なんであたしが、あのメイドさんの事を『ご主人様』なんて呼ばなくちゃいけないのっ!』って所に怒ってたみたいですが。
あとは、『お姉さまを『泥棒猫』と呼ぶなんて、あたしのそっくりさんじゃありませんっ!』とか、ちょっと外れたところで怒っていたのですが。もしかすると、司令代理をご主人様って呼んでいたら、喜んでたかもしれませんね。
そもそも人魚なのに、陸上で起動させてしまったために、蛇のようにずりずり地面を這う時点で、どうも絵的に厳しかったというか……」
「それで、結局のところ……破棄というわけなのね」
「ここまで壊されると、そうしたくもなりますが………流石にかなりの費用をかけましたから、破棄する訳には行きません。
とりあえず、現状搭載しているOSを単純なものに載せ変えて、人魚さんの『アシスタント』という事にしようと思っています。
もちろん見た目もかなり変える予定です。無駄には出来ませんし。
ですが、たなぼたで面白いデータは取れましたけど」
「へえ、どんな?」
「メイドさんの戦闘能力のデータですよ」
「ふむん。そういうことだったのね。ということは次に創られるマシナリーは……」
「ええ、もう骨格部分はできています。あとは……うっふっふ」
「技術屋。そちも悪よのう」
「副司令ほどでは……」
「うっふふふふ」
「うっふふふふ」
次回もあるんですかねえ……。
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